センスのいい家具はモデルハウスから学ぼう〜Yチェア編〜
2021年12月29日家を建てたり、引っ越したりして心機一転。
センスのいい家、部屋にしたい!
でも、どうしたらいいかわからない。
センスのいい人はどうやってあんなお家にしているのか、誰か教えて!!!
って思いますよね。
素敵だなぁと思う家には、大抵センスのいい家具が置いてあります。
でも、それはどこかの小さなお店から見つけてきて1点ものを置いているわけでもなく、
(所さんのようにそういう方もいらっしゃいますが、、、)
定番の廃らない美しい家具たちを置いたり、飾ったり。
それに合わせて、自分の好きと思えて可愛いものを置いているのだと思います。
丸晴工務店のモデルハウスにもたくさんの素敵な家具がありますのでご紹介させていただきます。
今回は、その中の”Yチェア”をご紹介させて頂きます。
モデルハウスにある家具雑貨
ペンダントライトPH4/3 《louis poulsen (ルイス・ポールセン)https://www.louispoulsen.com/ja-jp/privatek》
ダイニングテーブルの照明についての記事はこちら。
https://www.marusei-j.co.jp/ダイニングのペンダントライトの位置って?/
カイクリスチャンセンNO.42《宮崎椅子製作所 https://www.comfort-mart.com/?mode=f58》
ミナペルホネン《minä perhonen (ミナペルホネン)https://www.mina-perhonen.jp》
Yチェア《Carl Hansen & Son(カール・ハンセン&サン)https://www.carlhansen.com/ja-jp》
Yチェアについて
デンマークを代表する家具デザイナーであるハンスJ.ウェグナーが手掛けた名作椅子の中でも特に有名で人気の高いYチェア。1950年の発売以来何十万脚も生産されてきました。
Yチェアの製造会社であるカール・ハンセン&サン(Carl Hansen & Son)社が付けた『CH24』が正式名称で、「Yチェア」はデザイナーのハンス J. ウェグナーが付けた名前ではありません。
通常、デンマークでは家具を識別するものは、メーカー名のイニシャルやデザイナーのイニシャルの後に家具の番号をつけた商品番号で、CH24の場合、「Carl Hansenの24番の椅子」ということを示しています。
ハンス J. ウェグナーのYチェアは、その斬新なフォルムからモダンデザインの名作として世界的に知られてきました。
CH24のデザインにおいてウェグナーは、アームと背もたれを一体にするという、それまでの椅子デザインに見られなかった斬新な試みをしています。そしてこの曲木製のアームに安定性と心地よい使用感を与えるのが、印象的なY字形の背もたれ。
この形状からYチェアと呼ばれるようになりました。
Yチェアの発端は中国の椅子に座るデンマーク商人の肖像画。商人が座る明代の椅子がデザインの起源となっています。
CH24の完成に必要な製作工程は100以上。しかもそのほとんどが職人の手を通して作られています。
カーブの美しさ
Yチェアの美しさは、このアームから背もたれにかけての曲線。
手で握るのにちょうどよい太さといえる直径30㎜の丸棒のアームは、木材を曲げて作られています。
角材を蒸気で蒸した後、U字の型にはめて乾燥させることによって形状を安定させており、その後、丸く成形し、さらに背のあたる部分を斜めに削った後にほぞ穴を加工します。
Yチェアはどこからみても美しく感じられます。
ペーパーコードの快適な座り心地
Yチェアの座面に使われているペーパーコードは、幅45㎜ほどの紙の帯を撚ってできた3本の紙紐を、表面が平滑になるようにさらに撚ってできています。
原材料はスウェーデン産の針葉樹の天然のパルプでできています。天然パルプは繊維が長いので簡単には破れません。再生紙のように見えますが、再生紙は繊維が短いので強度を保つためには適していません。
その丈夫さは革や布張りのイスと変わらず、張り替えの目安は10年〜15年と言われています。
さらに、初めは固く張った座面は座るごとに座る人のお尻の形に合わせて少しずつ変形してくるので、お尻が包まれるような快適な座り心地となります。
Yチェアに使われている木材
Yチェアに使われる木材は、すべて広葉樹です。
発売当初からビーチとオークが多く、2000年前後からチェリーやウォールナットも使用されていました。
針葉樹は50〜80年ほどで材料として使えるくらいに生育するのに比べ、ビーチは100年〜120年、オークは120年〜150年ほどかかります。年月がかかる材ですが、針葉樹より広葉樹の方が硬く経年変化を楽しめます。
最後に
Yチェアに限らず、ウェグナーの椅子はフォーマルでもカジュアルでもどのような空間に置かれても馴染みます。
それは、流行に左右されない形状であること、合理的に自然に無駄なく作るかを考え抜いた末にできた造形であることが言えるのではないでしょうか。
また日本でのYチェアの販売数は年間5,000〜6,000脚と言われています。これは、Yチェア年間生産数の4分の1から3分の1にあたります。
日本人が木造建築や木工芸の伝統があり、Yチェアの造形や色気などが日本人の感性に響くからなのでしょう。
参考資料:誠文堂「Yチェアの秘密」
丸晴の家具づくりのYouTube