人や街が豊かになる造園や植栽をするには
2021年5月4日目まぐるしい生活とせわしい社会環境の中、
家にいることも多くなり、
ふっと窓の外を見れば癒される空間が欲しいと思うのは、
誰しもが思うことではないでしょうか?
ちょっと重い腰を上げて行動してみることで、
意外にも多くの人の心に影響してくるのがわかると思います。
これからお話しする内容は、
建築家の方が作られた本の抜粋ですが、
社会が変わっていく中で、どうあるべきか、
変えていくべきところ、変えてはいけないところ
そういうところを考えた上で庭づくりをしていくことが
大切だということを教えてくれています。
ぜひ絵本も読んで欲しいです。
目次
向こう三軒両隣り
建築家 田中敏溥さんの絵本『向こう三軒両隣り』より
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1950年代表の道や路地が私たちの遊び場でした。
しかし、時代は高度な情報化の社会へと突入していき、
道からは子どもたちだけでなく心も消えていってしまいました。
そして、家の形も変わっていきました。
ー中略ー
これは最近体験したことです。
その家の東側は道路から外壁まで
1mしか離れていませんでした。
最初はふつうの生垣をつくる計画でしたが、
「せっかく植えるなら、近所の方や、
学校帰りの子どもたちが
食べてもいいように、実をつける木を植えませんか。
そのほうが楽しいでしょう。
どうぞ食べてくださいってね。」
と建て主からわたしに提案がありました。
そこにはブラックベリー、ブルーベリー、
ユスラウメ、木イチゴ、
キンカンを植えました。
このあいだ訪ねたとき、ブルーベリーが実を付けていたので、
そっとひとつぶ摘んで口に入れました。
格別な味がしました。
このように街に対するやさしい気持ちが
ひとつずつ増えていくと
いいと思っています。
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この絵本を読んだとき、
とても衝撃を受けました。
もちろん、自分の土地だから好きなように
植えたりするのはいいのでしょう。
でも、こんな風に、人や街を想って植えることで
人や街が豊かになり、やさしい気持ちで
あふれるのだと思いました。
ブラックベリー
ブルーベリー
ユスラウメ
木イチゴ
キンカン
そのほか苗木の種類
高木(3m以上)
アオダモ
モクセイ科/落葉高木
[特性]
花のなる時期は5月〜6月、半日陰〜日向で育てる。
野球のバットの材にもなることで知られる樹木。
成長が遅く、建築に当たるほど大きくならないうえ、半日影でもよく育ち樹形が乱れにくいため、中庭でも使いやすい。幹の模様が美しく、落葉後の姿も絵になる。サイズも多様でどのような建築にも合う表情をもつ。日向を好むが、日当りが強いと模様が薄くなる。
[お手入れ メンテナンス]
乾燥や寒さに強く、病害虫もほとんどないので育てやすい。
剪定は、樹幹の内部を透かし剪定する程度で手入れにも手間がかからない。
ただし、植え付け1年目は土壌を乾燥させないように水やりを十分に行う。
アベマキ
ブナ科/落葉高木
[特性]
花のなる時期は4月〜5月、実は翌年10月〜11月。日向で育てる。
クヌギと似た樹木。樹皮がコルク質で弾力があり、柔らかな印象。成長するにつれて幹の迫力が増すので、幹の面白さを楽しめる。
[お手入れ メンテナンス]
樹形が乱れてきたら剪定で整えるが、強剪定は避ける。
中木(1.5m〜3m)
ウグイスカグラ
スイカズラ科/落葉中木
[特性]
花のなる時期は4月〜5月、実は6月〜7月。半日陰〜日向で育てる。
日本原産の樹木で、ラッパ状のピンクの花や果実が楽しめる。日向では株にボリュームが出て、花付きもよくなる。
[お手入れ メンテナンス]
暴れる感じで枝が生えてくるが、適宜間引いて好みの形に仕立てる。
オリーブ
モクセイ科/常緑中木
[特性]
花のなる時期は5月〜6月、実は9月〜11月。日向で育てる。
古木は幹が強く迫力がある。銀色に輝く葉も繊細で美しく、洋風の雰囲気が出る。乾燥地帯の植物だが、日当りがよく水はけがよければ、特に土壌は選ばない。ただし、耐寒性はあるものの、極寒地では難しい。果実はオイルやピクルスの原材料として楽しめる。実を多く収穫するためには違う品種を添えて植える。
[お手入れ メンテナンス]
混み合ってきた枝を整理し、風通しをよくする。
春から秋にかけて、幹を食害するゾウリムシに注意。乾燥を好むので水やりは控えめに。剪定は枝分かれしている付け根で行う。剪定適期は2月頃だが、それ以外の時期でも余計な枝は適宜落とす。
低木(1.5m以下)
ギンバイカ
フトモモ科/常緑低木
[特性]
花のなる時期は5月〜6月、実は10月。半日陰〜日向で育てる。
温暖な気候に適した植物で、耐寒性はあまり高くなくない。日当たりがよく、寒風の当たりにくい中庭や建物際に植えるとよい。
[お手入れ メンテナンス]
徒長枝が出るので枝の又でカットする。剪定の適期は花後すぐ。病害虫の心配は特にない。
ハクサンボク
スイカズラ科/常緑低木
[特性]
花のなる時期は4月〜5月、実は10月〜11月。半日陰〜日向で育てる。
大きめの青々とした照り葉が魅力の常緑樹で、半日影で美しい樹形を維持する。春には星をちりばめたような白い花を咲かせ、秋には真っ赤な実を付けるなど、四季の移り変わりを感じさせてくれる。柔らかい枝のものを、高木や中木に絡めて使う。耐寒性・耐暑性ともにあるが、元々暖地に自生しているため、寒冷地には不向き。
[お手入れ メンテナンス]
害虫ではアブラムシ・カイガラムシの発生に注意。
ハムシに食べられることがあるが、枯れることはない。剪定は徒長枝、古枝を整理する程度で、ほとんど手はかからない。
参考資料:株式会社エックスナレッジ『萩野寿也の「美しい住まいの緑」85のレシピ』
丸晴工務店の庭づくりの取り組みについて
https://www.marusei-j.co.jp/tag/庭/
植栽はワークショップ形式で、お客さんと一緒に庭づくりをしています。
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