破風に設置されるこの飾りは、縣魚と書いて「げぎょ」と読みます。
2024年1月22日”縣魚”(げぎょ)は、古典的な日本の建築で、玄関の破風(はふ)に設置される装飾的な彫刻などを指します。
これらの装飾は伝統的な日本の家屋や建物の玄関部分に取り付けられ、家の持ち主の繁栄や幸運を象徴するものとされています。通常は鯉(こい)や金魚などの魚が用いられ、縁起を良いとされるシンボルとして愛されてきました。
現在では様々な形があり、写真のようなものが見掛けられます。
はじまり
”縣魚”は、日本の建築における玄関の装飾として用いられてきた伝統的な文化で、その起源については複数の説がありますが、一般的には中国から伝わったと考えられています。
「縣魚」の由来に関する一つの説によれば、中国の伝説に登場する黄河の鯉が龍門の滝を登りきり、成功すれば龍に変身できるというものです。この伝説は成功や成長、繁栄の象徴として鯉が重要視されるようになりました。
日本においても、この伝説が縣魚の起源とされ、鯉は縁起の良いシンボルとして家の玄関に飾られるようになりました。
その後、鯉の他にも金魚やカワニナなどが縣魚のデザインとして用いられるようになりました。
また、日本の伝統的な文化や風習において、魚は縁起の良い動物とされており、繁栄や幸福を象徴するものとされています。そのため、建築や装飾においても縣魚は繁栄や幸運を願うシンボルとして重視され、古くから日本の建築文化に根付いています。
ちなみに、日本で最も有名な縣魚は、京都の清水寺にある三花懸魚(さんかけんぎょ)というものです。三花懸魚は、三つの花の形をした縣魚で、桜、菊、梅の花を表しています。
三花懸魚は、平安時代に建てられた清水寺の本堂の屋根に飾られており、日本最古の縣魚とされています。
種類
縣魚の種類は、形によって様々に分けられます。一般的には、以下の4種類があります。
猪目懸魚(いのめげぎょ)
ハート型の穴がある縣魚です。火除けのまじないとして使われました。
猪目縣魚は比較的古い形式で、鎌倉時代以前からあるとされています。
蕪懸魚(かぶらげぎょ)
ハート型の穴がない縣魚です。シンプルでモダンなデザインが特徴です。
野菜のカブに似た形をした縣魚で、寺社建築や民家に見られます。
三花懸魚(みつはなげぎょ)
蕪懸魚と猪目懸魚を合体させた縣魚です。桜、菊、梅の花を表しています。
三花縣魚は、入母屋破風や大きな千鳥破風に取り付けられ、両端から鰭(ひれ)と呼ばれる若葉や波を形どった飾りがついています。
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梅鉢懸魚(うめばちげぎょ)
梅鉢縣魚とは、梅の花を図形化したもので、五角形または六角形をしています。
小さく簡素なもので、小さな千鳥破風や切妻破風などに取り付けられます。
梅鉢縣魚は鎌倉時代に現れ、現存する最古の懸魚は梅鉢縣魚です。平安時代末期の絵巻物にも描かれており、高位の貴族の屋敷にも飾られていました。
https://blog.goo.ne.jp/momosi77/e/d98980c659eef67381f019c9ece946c7
今回、建築中の敷地内にご両親の旧日本家屋にある「縣魚」が壊れてしまって修復して欲しいとのご依頼がありました。その修繕動画をこちらにご紹介いたします。
丸晴工務店YouTube ”日本家屋の破風に飾られる「縣魚げぎょ」を再生します。”
以前、丸晴で建てた入母屋のお家のブログをご紹介します。