間取りによって変わってくる階段。どんな種類があるの?
2022年4月19日住宅雑誌を読んでいると、色々な形の階段がみられます。
一般的な階段やおしゃれな螺旋階段だったり、
素材も木だったり鉄柱だったり、
階段の種類や特徴などを合わせて知っていると、
注文住宅をいざ建てるとなったとき、知っているだけで
設計士さんとの打ち合わせが楽しく、かつスピーディーに行えます。
設計が上手な人ほど階段の使い方が巧みで、余計な面積を取る無駄な空間として嫌われる階段ですが、実は階段こそ、プランニングの隠れた主役なのだそうです。
目次
階段の基本的な寸法
住宅の階段の設計で最も大切な点は、人の足の運びを踏まえ、その役割・蹴り上げと踏み面の関係を理解することです。
階高を等間隔に割り付けることを「階段割り」と呼び、「蹴り上げ」は、その1段の寸法(R)です。「踏み面」は、階段の足を載せる水平面を指し、その先端を段鼻と言いますが、段鼻から次の段鼻より鉛直に下ろした位置までが踏み面寸法(T)で、蹴上げと同様に等間隔にしなければなりません。
建築基準法でも、住宅では、蹴上げ23㎝以下、踏み面15㎝以上、階段幅は75㎝以上とされています。
国土交通省 建築基準法制度概要集
https://www.mlit.go.jp/common/001215161.pdf
階段の種類はどんなものがあるの?
階段は床レベルの異なる所をつなぐ段形の通路で、段の平面形状により直進階段、矩折れ階段、折返し階段、回り階段、螺旋階段などに分けられます。
直進階段
鉄砲階段とも呼ばれます。
直進階段は、直線状に上り下りをする階段の形式です。
階段のデザインとしてはシンプルで純粋な形です。
視線の見通しがよく住宅の階段としては象徴的なデザインをすることができます。
側桁階段
側桁階段は、木造階段の中でも最も標準的な形式の階段です。
構成部材は、側桁、段板、蹴込み板からなっています。
踏込板や蹴込み板を側板で両側から挟み込むような構造で成り立っている階段の形式です。
蹴込み板のない側桁階段は、視線が通るので軽やかな印象を与えます。
空間を閉鎖的にしたくないときや光を通したいとき、階段下を収納などに利用したいときなどに選択されます。
ささら桁階段
ささら桁階段は、段板をささら桁で支えるシンプルな階段の形式です。
動的なささら桁の美しさと踏板のリズムが気持ちよく、高い意匠性から玄関ホールやリビング等のパブリックな空間に採用されることが多いです。
2本のささら桁で支える形式や1本のささら桁と壁面で支える形式などがあり、またささら桁の形状や手摺(てすり)の形状と取り付け方などでデザイン性の高いさまざまなバリエーションの階段がつくられています。
ひかりをとりこみ灯す家 https://www.marusei-j.co.jp/work_post/ひかりをとりこみ灯す家/
刻み動画はこちらhttps://youtu.be/oP52hfqbO-E
家族の絆が深まる住まい https://www.marusei-j.co.jp/work_post/家族の絆が深まる住まい/
力桁階段
力桁階段は、ささら桁階段の一種で段板を中央の斜めにかけ渡した力桁という大きな部材により支える構造の階段です。
シンプルな一本桁の直線階段のデザインは、構造的な強度とバランスが要求されます。
力桁の重厚感と力強さ、段板の軽やかさの対比とバランスが魅力であり、風や光を通し、視線が抜け、空間に開放感を与えることができる意匠性の高い階段です。
折り返し階段
折り返し階段は、階高の中間の高さに、踊り場を設け、180度転回させて上り下りする階段の形式です。
安全性が高く、上り下りのしやすい安心な階段形式です。
踊り場を持つ平面形状は、直通階段に比べて面積が多く必要となります。
上り下りのときに視線の方向が変わるという空間体験ができる階段です。
回り階段
回り階段は、コンパクトに平面に納めることのできる階段形式です。
一般の住宅では、直進階段と同様に、頻繁に採用されるタイプの階段です。
折り返し階段のように踊り場がなく、旋回するように回りながら上り下りする階段であるため、安全性は少し劣ります。
旋回する部分の踏面は、回転の中心から300㎜のところで150㎜以上確保されなければならない。
だんらんの家 https://www.marusei-j.co.jp/work_post/だんらんの家/
螺旋(らせん)階段
らせん階段は、平面形状が円形で中心の柱から格段板が環状になっています。
柱を中心としたらせん状に旋回しながら上り下りをする階段です。
上り下りのしやすさは折り返し階段や周り階段よりは劣りますが、設置面積がコンパクトでなにより流れるような美しい構造のフォルムは、インテリア空間のシンボルとなります。
上下に動きながら同時に360度に視界の変化を楽しむことができる階段の形式です。
木製のらせん階段もありますが、住宅の階段ではスチール製の方が納まりも比較的容易で、軽やかなイメージから採用されるケースが多いです。人が直接触れる、段板や手摺には木を使うことが多いです。
まとめ
今回、何種類かの階段をご紹介しましたが、先にもお話ししたように、設計が上手な人ほど階段の使い方が巧みで、設置する場所、面積、見せ方全てにおいて、プランニングの隠れた主役なのです。
それを知ると設計士の意図する階段の配置などが理解でき、楽しい家づくりができるのではないでしょうか。
そのほか階段を作ってる動画はこちら