上棟式とは何なのか?大工工務店だからこそ知っている知識。
2021年3月12日上棟式(じょうとうしき)は何故行われているのか。その歴史から上棟式についてご説明をさせていただきます。
丸晴工務店は大工から始まった大工工務店ですので、このあたりの知識や歴史は数多く持っております。
以前、川崎市で取材を受けた事がありました。
また、建築知識という建築専門雑誌の別冊で設計の基本と納まり 和風デザイン図鑑における上棟の記事で丸晴工務店での実際にあった
上棟式の写真が使われております。専門的にもっと知りたい方は是非ご覧ください。
上棟式は建前の最後に棟木を上げた後に行われる儀式です。棟上げ(むねあげ)、建前(たてまえ)ともいいます。
家屋の棟を司る神に工事が無事故無災害で無事に完成するよう成就を願います。
正式は上棟式ですと宮司さんに来ていただきます。略式ですと大工の棟梁がおこないます。
上棟式はいつ頃からおこなわれていたの?
その歴史は古く平安時代には確立されていたと言われているが、江戸時代の文献や資料が多く残っております。
棟梁送りをする様子を書いた錦絵が各所江戸百景にも描かれております。
昔ながらの上棟式とは?
丸晴工務店でも最近は滅多に昔ながらの上棟式をおこなう事が少なくなりました。
昔ながらの上棟式ですと
棟に3本の扇子車と破魔弓、破魔矢を備えます。
地方によって若干違いがあります。
祭壇を設けまして、3本の幣または神籬を祀り、お神酒・洗米・鏡餅・昆布などの海のお供物
大根などの山のお供物などを供えます。
正式には
①御神楽②散塩③酒水④奉幣などなど
神様をお呼びしたりとかなり長い儀式を行います。
よく餅を撒くというお話を聞いた事があるかと思いますが、こちらも上棟式の儀式になります。
その後、直会(なおらい)がありお客様からおもてなしのご馳走をいただきお酒なども振る舞われます。
そこで職人達は自慢の歌(民謡など)を披露する事もありました。
その後鳶さんにより中締めをし、棟梁を自宅までお客様も一緒に職人が3本の扇子車と破魔弓、破魔矢を持ちながら送っていく習わし
棟梁送りがあります。無事に棟梁を自宅まで送りとどけるという意味があります。棟梁の自宅に着きましたらそこで
酒肴が振る舞われます。
棟梁送りですが
YouTubeでhttps://youtu.be/AhCY0vCcGMs
こちらの貴重な動画が上がっておりますので、是非ご覧ください。
こちらの棟梁送りでは鳶さんが木遣(きやり)を歌いながら行進しておきます。
木遣りはお祝いの席でも歌われますが
現在では結婚式でお聞きになった事があるかもしれません。
とても迫力がある素晴らしい歌で
日本の木造建築における鳶職(とびしょく)らによって歌い継がれた伝統的な作業歌・労働歌になります。
現在の上棟式は?
現在はとても簡単な略式型になってこの儀式が残っています。
大工が作成した幣串を棟が上がったあと棟木に供えます。
この幣串はお家が完成したあとも小屋裏などに供えておきます。
家内安全、建物の無災害を祈願するものになります。
建物の4隅にはお米、お塩、お酒(日本酒)をまきます。
お米とお塩は1合ぐらい、お酒は一升瓶をご用意いたします。
その後直会(なおらい)が行われます。
大工一同と鳶さんと設計スタッフなどが参加します。
お施主さまご家族やご両親、ご親戚、またはご近所の方が参加される場合もあります。
施主さまは、工事の無事を祈るとともに、担当する大工や職人さんとお話をしながら食事などを共にする機会になります。
現在ではコロナの影響もありこういった直会はおこなっておりませんが、是非交流をより深めるためにもお薦めです。
上棟式は吉日におこなうべきか?
こちらの方のサイトが見やすいのでおすすめです。
こちらを参考にして上棟式の日程を決ます。
地鎮祭と同様に吉日を選ばれた方が一般的にはよろしいと思います。
ですが、なかなかお休みと吉日が一致しない時は棟上げ作業は先におこないその後の土曜日の
吉日に上棟式をおこなう事もあります。
服装はどんな格好をすればいいか?
正装してなどは全く必要ないかと思います。
ただし、冬に関しましては外でおこないますので暖かい恰好を是非していただきたく思います。
夏に関しましても、日差しが強い場合がありますので日傘など日射対策をお願いいたします。
まとめ
上棟式は建築の伝統的な儀式として、今でも簡略化して残っております。
建売の住宅やパワービルダーさんやハウスメーカーさんの住宅に関してはあまり職人さんと交わう事も無いと思いますので上棟式というものは
必要ないかと思います。しかし、職人さんによる手作りのお家を作られる場合に関しては、仕事に携わる大工や職人さんといい関係性も築く機会にもなります
し必要なのかもしれませんね。