土間ってどんな種類があるの?一般的なのはコンクリート?
2024年3月1日みなさんは、「土間」と聞いてどんな土間を思い浮かべますか?
また、土間が気になるあなたは、何の目的で「土間」が必要と考えるのでしょうか?
昔の町屋のような趣のある土間は、近年ではすっかり見なくなりました。
室内空間と外空間の、その間。その空間がとても暮らしを豊かにしてくれます。
玄関土間に小さなベンチでもあれば、人が訪ねてきて少しの長話も靴を履いたまま気兼ねなく話せます。
中庭に続いた土間であれば、自分がお手入れをした庭を見ながら、小休憩も取れます。
自分の大切な時間を過ごせる場所として、土間を作ってみてもいいかもしれません。
さて、そんな土間にはどのような種類、どのような特徴があるのでしょう?
目次
たたき
たたきは土間の代表的な例の―つで、粘土・山砂利・消石灰の3種類で混ぜ合わせたことから、三和土とも書き、塩化マグネシウムが主成分であるにがりを混ぜ、小槌などで叩いて仕上げたものです。セメントがなかった時代の床仕上げ、基礎、井戸枠、便所の溜壷などに用いられました。
たたき仕上げは、各地で産出される山砂利を主材料とすることから、産地名をつけた名称で呼ばれる場合が多いです。代表的なものでは以下になります。
京都の深草たたき
深草たたきは、京都市伏見区深草の深草土と呼ばれる土を利用します。
深草土は、赤みがかった色で、砂利との混合比が高く、表面がざらついた質感になります
岐阜県の白川たたき
岐阜県白川村の白川土を使ったもので、白く細かい粒子で、石灰との相性が良く、固まりやすいという特徴があります。
愛知県の三州たたき
愛知県三河地方の土で、赤みがかった色と粘り気が特徴です。砂利との混合比が高く、表面がざらついた質感になります。
長七たたき
明治時代に活躍した愛知県三河地方の服部長七(はっとりちょうしち)による長七たたきは、その堅さから人造石とも呼ばれました。
これらは、主に花崗岩(かこうがん)の分解などによって生じたシリカ質の高い珪酸蕃土を多く含んだものです。
産地によって土の性質が異なることや、同じ産地であっても採取する層によって組成が違うため、一定品質の材料をつくることは困難です。
地方によっては風化花崗岩を多く含む山砂利と、粘土を別々に配合し、シリカ質を高める場合もある。また、最近では耐久性をもたせるため、セメントを混ぜるケースが増えています。
工法
握りしめて崩れない程度の堅さにした配合土を10センチ程度にならし、それを半分の厚さにまで叩き締めます。用具はタコやカメと呼ばれるたたき専用の木製の道具や、たたき板です。
更に2層目を同様に10センチ程度にならし、再度叩き締めます。
表面強度を高めるため、2層目は1層目より風化花崗岩(山砂利)を少なくします。この時、土の塊を十分に崩してから用いないと、施工後に硬化不良で穴があく場合があるので注意が必要です。
叩き終えたら水分を保つためにビニール等で養生を2〜3日行います。
水分を含有していると水硬化し、さらに空気中で緩やかに気硬化していくので、どんどん硬さを増すのが、たたきの性質です。
洗い出し
洗い出し仕上げとは、セメントに玉砂利や砕石を入れた上塗り材料が完全に乾燥しないうちに噴霧器等で水洗いし、砂利を表面に浮かび上がらせる工法です。
発生は、明治政府の権力を表現するのに都合の良い、官庁や銀行建築等の古典主義様式に由縁します。日本では一般的でなかった積石構造の表現を、お雇い外国人建築家たちは技術力の高い左官に、それに似せた人造石として求めました。江戸期まで、日本の左官技術で表層を洗ったり、削り落とすという工法はほとんど見あたりません。欧米から削り落として仕上げる工法と水和硬化性のセメントが伝わったことによると考えられています。
また、洗い出しには、石の種類がたくさんあるのと同様に、混ぜ合わせたり、形の大きさの違いだったりとたくさんの種類があります。
大きさには1分・2分・3分・・・と石の大きさで分けられております。
玄関土間などは、主に1分、2分が多いです。
大きさによって見える印象も違ってくるので、お好きな雰囲気に合う石の大きさを選ぶと良いかもしれません。
洗い出し工法
1、墨出し
目地割りを行う。
2、吸水調整
吸湿調整剤を塗る。
3、目地棒の張り付け
セメントペーストを塗って目地棒を固定し、新しい目地棒は石灰水であく抜きしてから使う。
目地棒を張り付ける事によって、洗い出す際に材科のずれを防ぎます。
4、アマこすリ・上塗り材塗り付け
アマをむらなく塗り、その上にモルタルと種石を混ぜた上塗り材を塗り付ける。
骨材を混入しないセメントペーストか、混入するセメントモルタルかで作業性や硬化後の物性が異なります。ペースト工法は作業性が高く、仕上げ精度がよくなります。一方、モルタルエ法は構造体と一体になるため耐久性が高く、種石をより大きく出すことができます。
5、 伏せ込み
仕上がり面に種石が現れるように表面のアマをブラシで2回程度拭き取る。石の並びを調整し、人造錢で伏せ込む。
厚手の人造錢で種石を均一にします。水引きの乾燥具合を誤ったり、長く錢で伏せ込んでいると下地との界面でずれせん断が発生します。仕上げ層の水引きを均一にするため、新聞紙を張り付けてその上に張り粉と呼ばれる石灰やセメントの粉を塗り、表面の水分を吸収させます。
6、洗い出し
刷毛で表面のアマを拭き取り、噴霧器でむらなくアマを洗い流す。
表面の余分なアマを刷毛でよく拭き取ります。噴霧器を用いず、この作業だけで仕上げとすることも可能です。最近では硬化時間を調整できる硬化遅延剤を用いる工法もあります。大きな種石を使う場合は洗い出さず、セメントを塗り付けた後に一つ一つ埋め込む『埋め込み工法』を用います。
なお壁を仕上げる際は、普通の左官材料と異なり下段から塗り付けていきます。種石材料の質量が大きいので、積み上げるようにして塗るとよいです。さらに、洗い出し時の水が下方に流れるので、時間調整ができるオープンタイムとして使え、仕上げ時を統一できます。
7、目地棒抜き取り
半錢の剣先を目地棒に差し込み、目地角が崩れないように抜き取る。
8、目地塗り仕上げ
ノロのみではひび割れを起こすため、上塗り材に寒水石を混入する。
9、酸洗い
塩酸を10倍程度に薄めて表面を洗い、清水で酸が残らないよう十分に洗い流す。
メリット・デメリット
メリットは、骨材や砂利の種類の大きさや色によって、様々な表情をもちます。
また、凹凸ができるため滑りにくいです。
デメリットは、一般的なコテ仕上げやタイル張りに比べて工程が多く、洗い出すタイミングを天候や気温などで判断するなど技術を要します。そのため材料費や人件費がかかります。
また、経年劣化や高圧洗浄による砂利で剥がれてきてしまう可能性があります。
コンクリート
コンクリート土間とは、地面に直接コンクリートを流し込んで平らに仕上げたものです。
駐車場や玄関アプローチ、物置などに使われます。コンクリート土間は、以下の手順に沿って作業を行います。
コンクリート土間を施工したい場所の土を30cm以上掘り起こします。掘り起こした土は別の場所に運んでおきます。掘り起こした地面は転圧機や棒などでしっかりと固めます。
工法
1、砕石
掘り起こした地面の上に砕石を均等に敷き詰めます。砕石は5~10cmの厚さが目安です。砕石を敷き詰めたら、再度転圧機や棒などで固めます。
2、型枠
コンクリート土間の形や高さを整えるために、木材やブロックなどで型枠を作ります。型枠はしっかりと固定しておきます。型枠の内側には水が溜まらないように勾配をつけます。一般的には2~3%の勾配が推奨されます。
次に、コンクリート土間の強度やひび割れ防止のために、ワイヤーメッシュを型枠の内側に敷きます。ワイヤーメッシュは砕石の上に置き、コンクリートとの間に隙間ができないようにします。ワイヤーメッシュは型枠の端から5cm程度離しておきます。
3、コンクリート
コンクリートを型枠に流し込みます。コンクリートは既に砂と砕石が配合されたドライ生コンを使うと便利です。ドライ生コンは練船に入れて水を加えて混ぜるだけで使えます。コンクリートの量は施工したい面積と厚さに応じて計算します。一般的にはコンクリートの厚さは10cm以上が目安です。コンクリートを流し込んだら、スコップや棒などで空気を抜きながら均等に広げます。
コンクリートを流し込んだら、コテやレーキなどで表面を平らに仕上げます。
コテは良質なものを使うと仕上がりが綺麗になります。コテで表面をならしたら、乾くまで放置します。乾くまでに雨やほこりなどが付着しないように注意します。乾くまでの期間は気温や湿度によって異なりますが、一般的には1週間程度とされます。
メリット・デメリット
コンクリート土間は、水はけがよく、掃除は水で洗い流したり、ブラシでゴシゴシと擦って簡単に行えます。耐久性も高くメンテナンス費用も抑えられます。
しかし、温度の変化や乾燥などによってひび割れを起こす可能性があります。
参考文献:「CONFORT 土と左官の本」建築資料研究社
写真提供:日本玉石株式会社http://www.nihontamaishi.co.jp
このブログに載っていた施工事例はこちら
https://www.marusei-j.co.jp/work_post/タタミリビングの家2/
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