第6回多摩川建築塾 三澤文子さんによる講義

先週、『第6回多摩川建築塾 三澤文子さんによる講義』が行われました。
三澤文子さんは、今までの建築家人生で色々と大きな転機があったそうですが、一番の転機は阪神・淡路大震災だったそうです。
地震によって崩れた木造住宅を見て、なんとかしないといけないと感じたそうです。

そこで、まず木造住宅に関わるつくり手たちの、とくに木構造のレベルを上げないといけないと考え、1995年から木構造や木質材料の先進的な研究者や実務者を呼んで勉強する場をつくられました。
それがMOKスクール(モクスクール)だそうです。

実際に、三澤さん自身が市場に赴き、お客さんの材木を目利きして選ぶのだそうです。

そのように、木造住宅において「強・用・美」を重きにおいて、設計をしてこられたそうです。
『美』で言うと自然の持つ美しさを最大限に活かし、木の美しさを魅せる。
そんな設計をされています。

これは、Ms建築設計事務所の事務所

無垢の木の良さを知り、何年後、何十年後でもかっこいいと言われるような住宅を設計される三澤文子さん。

隠れたところに粋な模様があったり、大工さんの木目(色など)を使った粋な演出が大好きだそうで、設計することをとても楽しんでいるようで、輝いていて素敵でした。

こんな居心地の良さそうにしている子供たちを見られたら幸せですね。

そのような居心地の良いお家をたくさんつくるためにも、

丸晴工務店は、日々色々な建築家から学びながら住まいづくりをしています。

 

三澤文子さんが丸晴にきた際の丸晴紹介ブログはこちらです。

https://ms-a.com/丸晴工務店訪問記/

 

その他の設計についてのブログはこちら

https://www.marusei-j.co.jp/tag/設計/

左官壁「珪藻土」の良さはどんなところ!?

先日、珪藻土の丸晴工務店オリジナルが出来ました!

北海道稚内で獲れた丸晴工務店の「珪藻土

みなさんは「珪藻土」という言葉、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

その珪藻土はどういうものなのか、特徴などご説明していきます。

 

珪藻土とは

珪藻土(けいそうど)とは、植物性プランクトンの珪藻が、海や湖の底で長年にわたって堆積し、化石化したものです。約800万年の時を経て、世界各地で採掘され、古くから人々の暮らしの中に利用されています。

例えば、七輪や耐火レンガ、ビールのろ過材、最近では化粧品のワンデーションにも使用されています。

その中で、最近注目を集めているのが住宅の内装建材としての利用方法。天然素材である珪藻土は、自然の風合いが美しいだけではありません。さまざまな優れた特徴を発揮します。

珪藻土の優れた特徴とは?

調湿機能で快適

珪藻土には、細孔といって何千万分の1㎜という小さな穴がたくさんあいており、それにより余分な湿気を吸い、乾燥した時には湿気を放出してくれます。

その結果、結露を抑制しカビ・ダニ菌を抑制することができます。

火に強い!

土や石と同じ無機鉱物が主成分のため「耐火性能」に優れています。

昔から火に強い土として、七輪・耐火レンガの材料として使われていました。万が一の火災の時も、延焼を防ぐこともできます。※このように表面が焦げるだけ。

脱臭効果でいつも空気がきれい

珪藻土の調湿機能と吸着機能で脱臭効果に繋がります。

吸音・遮音性

珪藻土は細孔に空気を溜め込んで空気の層を作っています。そのため、壁に広がった空気の層は音を遮ります。

静電気を抑制します

静電気が発生しにくく、ほこりがつきにくく、空気中にほこりが溜まりづらくなります。

省エネだからお財布にも優しい

珪藻土は多くの細孔に空気を溜め込んで空気層をつくります。壁に使用した場合、壁に空気層ができ、熱伝導率が低く、保温・断熱効果が高まると言われています。そのため、夏は外からの熱を抑制して涼しく、冬は暖房で暖まった熱を逃さず、暖かい快適な環境を作り出します。結果、冷暖房費の削減に繋がります。

自然素材だから環境に優しい

内容成分が100%自然素材で化学物質を揮発しません。

また、化学物質が含まれていないため、基本的には劣化しません。

【材料】

珪藻土 → 主原料

食用でんぷん → 材料をくっつき合わせて塗りやすくする

白土(火山灰) → 色の具合

セルローズファイバー → 繊維を入れてヒビ割れを防止する

メンテナンスが簡単

壁についてしまったシミや汚れ、お子さまのクレヨンや水性ペンでの落書きも簡単に落とせます。

これは、傷がついてしまった時に霧吹きで水をかけて指先でぐるぐる。

珪藻土自体が薄塗りなのに、やりすぎて下地が見えてしまっていますが、通常だと乾いた時に馴染んで元通りになります。

 

左官仕事となりますので、手間がかかりそれだけお金もかかってきます。

しかし、壁紙やビニールクロスでは部分だけ直すということが出来ません。出来てもとても見れるような壁にはなりません。我慢して10年後15年後に大掛かりな張り替えを行うことを考えれば、意外と変わらないのかもしれません。

つまり、あまり変わらないお金で、自然素材を使用し健康に気を遣えるのであれば、それに越したことなのではないでしょうか。いつまでも健康的に良い家に住んでいってもらいたい。そんな思いから丸晴工務店は新しくオリジナルをつくりました。

丸晴工務店の珪藻土

珪藻土は、産地などにより細孔の大きさが違います。

細孔の大きさが直径50ナノメートル(※)以上が、一般的な珪藻土。

細孔が2〜50ナノメートルのものが、メソポア珪藻土。

この細孔の大きさの違いが、「調湿効果」の違いです。

このメソポア珪藻土を使い、丸晴工務店オリジナルの珪藻土ができました。

白土(火山灰)と呼ばれる色づけ用の素材と珪藻土との割合によって、効果など変わってきます。

効果を最大限にしたいというようであれば、ほぼ珪藻土になりますが色がベージュのような色になります。

反対に、白っぽいのが欲しいとなれば、白土(火山灰)の割合が増えるため、少し調湿効果など落ちてしまいます。

好みによって調整が可能のため、希望の珪藻土壁が見つかるといいですね!

丸晴工務店オリジナルは、丸晴が考えた調合の珪藻土なので、ご参考いただければと思います。

 

左官工事のYouTubeはこちら

https://youtu.be/GpmnUc20OGc

 

参考資料:株式会社ユーディー

気密性で決まるお家の良し悪し。

丸晴工務店の大工さんは、気密に関しても全員得意としております。

こちらのお家は、平均した数字でなんとC値が0.3でした!

最近は、お客様がこの専門的な値を聞いて「へー!すごいですね!」と言えるほど、とても詳しく知っていますよね。

本当によくお勉強されていてすごいなぁと思います。

 

 

気密測定って何?と思われる方のために、、、

気密測定とは、専用の機械を使い住宅の隙間の面積を測ることです。

C値とは、その測った値(㎠/㎡)のこと。→1㎡あたり何㎠隙間があるか?

例えば、

下表で言うと、1㎡あたり0.3㎠の隙間と言うことになります。

家全体のうちの、指の先程度の隙間しかあいていないと言うことです。

昔、隙間風がビュービュー入ってくるのを考えると驚きです。

そもそも、なんで気密をするのでしょうか?

それは、

性能を発揮させるためです。

どういうことかというと、、、

いくら壁を厚くしたり、いい材料、いい製品を使ったところで隙間風の入ってくるお家であれば、本来の力を発揮することができません。

冬で言えば、ダウンジャケットのように性能のいいものを着て、チャックを上げて着れば本来の力が発揮できるでしょう。

しかし、前を開けて着れば力は半分以下となってしまいます。

また、夏で言えば、窓を開け放して冷房をかければ、冷気が外へとだだ漏れて部屋の中は一向に冷えていきません。

少しでも冷気や熱を逃さないためにも隙間を減らすこと、つまり気密がとても大事なことなのです。

 

低気密では暖房するほど寒くなる

暖かい空気は力持ち。

熱気球は、暖めた空気の力だけで空を飛びます。

気球のエンベロープ(球皮)は完全な気密がとれているから、暖かい空気は漏れません。

しかし、気密性のない住宅は、さながら大きな穴の空いた気球。

せっかく暖まった空気は建物上部の屋根や壁から我先に逃げてしまいます。

なお悪いことは、上から逃げた空気の埋め合わせのために、野外の冷たい(=重たい)空気が下から容赦なく侵入してきます。つまり、「暖房するほどに寒く」なってしまうのです。(参考文献:日経BP社発行 エコハウスのウソ)

 

まとめ

気密性を高め、性能を発揮させてあげることにより、無駄なエネルギーを排出する必要もなく、住む人にとっては快適でお財布にも優しい、また温暖化に繋がるエネルギー排出の面からも環境に優しいお家となります。

図面上だけの数字ではなく、実際に気密測定を行いデータをとっていき、住み心地の良い家をつくっていくことが社会貢献に繋がっていくのではないかと思います。

丸晴工務店は、これからもそんな優しいお家をつくっていきます。

 

気密測定の実際の画像

https://youtu.be/EKbDIhf1HIA

 

テッポウムシとカミキリムシって?生態と予防とは?

先日、大事な樹木に丸い穴が!!!

テッポウムシにやられてしまいました。

「テッポウムシ?なにそれ?虫?」

初め聞いた時は、全く知リませんでした。

そこで、どんな虫なのか教えてもらいました。

画像のように、鉄砲で打ったように丸い穴が開くことから、この名がついたと呼ばれているんだそうです。

 

テッポウムシとは何なんでしょうか?それにどんな害があるのでしょうか?

こちらでご紹介していきたいと思います。

 

 

テッポウムシとは

カミキリムシの幼虫です。

成虫のカミキリムシが樹木に傷をつけて産卵します。

その後、卵は1週間ほどで孵化して、1年から2年かけて樹木を食べてながら育っていきます。

幼虫は内側から樹木を食べるので、被害に気付きにくく、気づいた頃には深刻な

状況になっていることもあります。

 

テッポウムシの発生時期

カミキリムシがテッポウムシを産む時期は、6〜10月です。

テッポウムシはおがくず状の糞をするため、そのような糞が根本周辺に溜まっていればテッポウムシがいる可能性があります。

幹周辺を念入りに探せば穴が空いていることがありますので確認してみてください。

カミキリムシの特徴は

体長3センチほど

背中にゴマのような白い点々があります

幼虫はミカン、ヤナギ、クリ、イチジク、バラなどの幹を食べます。

こんな虫を見かけたら要注意です。

 

テッポウムシが発生しているのがわかったら

カミキリムシは1回の産卵にたくさんの卵を産み付けるわけではないのですが、1匹以上いることも多いので確実に駆除するには農薬がおすすめです。

カミキリムシ、テッポウムシに効く専用の農薬やラベルに名前がある農薬が使えます。穴の中に噴霧して幼虫を退治し、時間をあけて針金などで中の様子を確認して穴が大きい場合や雨水が入るような位置は接蝋やコーキング剤などで穴を塞ぎます。

 

一方、成虫のカミキリムシは、あまり機敏な昆虫ではないので飛ばない限りは捕獲は容易にできます。見つけ次第確実に退治します。可哀想と思うかもしれませんが捕殺するのが確実でしょう。なぜなら放っておくと庭の大切な木に産卵されてしまうからです。木にとっても植物愛好家にとってもカミキリムシは天敵です。

 

予防はよく観察すること

樹木をカミキリムシとテッポウムシから守るためには、なにより幼虫の早期発見が第一です。

天敵の生態を知り日頃から気をつけて樹木を観察をしましょう。

株元におがくずがあふれていませんか?元気がなくおかしいなと思うことはありませんか?

もしあればそれはテッポウムシが入ったのではないかと疑いましょう。

早めの対策で幼虫を退治すれば木へのダメージも最小限に抑えられます。

 

樹木を植えることは、守ることも義務となります。

あなたの大切な樹木を枯らさないためにも日頃からよく観察し、愛情いっぱいに育ててあげてください。

 

庭づくりについてのブログはこちら

https://www.marusei-j.co.jp/街に居ながら山の四季を身近に感じる庭づく/

第5回多摩川建築塾 佐藤欣裕さんによる講義

先週、佐藤欣裕さんによる講義が行われました。

現在、高気密・高断熱と性能に目がいきがちですが、性能良くなったことで温暖化に繋がっていく懸念や、

家で過ごしていて、暑いからスイカを食べようとか、かき氷が食べたい!とか、そういった人間味がもう少しあってもいいのではないか。などなどお話ししていただきました。

 

これは、佐藤さんの事務所を作った際のお写真だそうです。

 

私には、難しい数字のお話しもありましたが、とてもいい勉強になりました。

丸晴工務店の設計士は、このように日々勉強し、あらゆる可能性を考慮して、施主さまが永く快適に住んでいただくためには、何が一番良いのかを考えてご提案させて頂いております。多くの情報が行き交うこの現代、ぜひ設計士を信じてお任せいただければと思います。

家をシロアリから守るホウ酸とは

シロアリ対策でホウ酸って聞いたことあるけど、実際どんなもの?と思っている方。

ホウ酸なんて言葉聞いたこともないという方もいるのではないでしょうか?

ここでホウ酸について学び、家まもりに役立ててみましょう。

 

 

シロアリとは

まずは、害虫であるシロアリについて知っておきましょう。

建築物などを加害するシロアリは世界中に生息している2260種のうち、53種にすぎず、多くのシロアリは森林地帯に生息し、枯れた木材や落ち葉を食物とし、物質循環に大きな役割を果たしています。特に熱帯地方では水分や通気など土壌条件の改良に非常に重要な働きをしており、地球環境という視点にたてばなくてはならない益虫で、生物多様化からの観点からなのです。

 シロアリは目が退化しているため匂いによって餌となる木材を見つけます。一般的にシロアリは松を好み、桧を嫌いますが、これは木材に含まれている微量の油性成分の匂いのためで、腐り始めた木材からは、シロアリが特に好む誘引物質ができます。

 白アリは土の中などに棲み家(コロニー)を作り、数万から数百万のファミリーで暮らしており、 コロニーと建物の土台や柱などを行き来して、 木の柔らかい部分を食害していき、表面を残して食べ進んでいくため、発見されにくいのが被害を大きくする要因のひとつです。

Close up termites or white ants

シロアリについて詳しくはこちら

https://www.marusei-j.co.jp/シロアリ(白蟻)/

 

ホウ酸は“天然物 ”

ホウ素は原子番号5の元素で、天然には酸素と結合したホウ酸塩として存在します。

ホウ素は、私たちの健康にとっても重要で、成人は水や食事から一日1~3mgのホウ素を摂取しています。ホウ素は代謝や骨の健康、脳の機能への役割が確認されており、最近では、ホウ素不足を補うためのサプルメントも販売されています。

また、ホウ酸は米・カルフォルニア州や西トルコの鉱脈で採掘される「ホウ酸塩鉱物」を精製して作られます。

鉱脈のほかにも、海水、淡水、岩石、全ての植物、土壌など私たちの周囲や自然のいたるところに存在する“天然物”です。

植物には欠かせない微量元素として、成長を促進する反面、制御することもできる、エネルギー代謝を調節するのに効果的な保存剤で、細胞を殺さず成長を停止させる静生物剤です。天然のホウ素化合物は、菌類、藻類、バクテリアや、ゴキブリ、甲虫、アリ、スズメバチ、ノミ、シロアリ、ハエ、ガ、などの昆虫に対し効果的に作用されます。

 

ホウ酸塩の木材保存に適する理由

 生物は、細胞内で栄養分を燃やしてエネルギーに変えています。これを代謝といいます。細胞中のホウ酸濃度が高まると、代謝反応がストップし、生物は餓死することになります。 しかし哺乳動物では、血液に溶けた過剰のホウ酸塩は、腎臓の働きで体外へ排出されます。このために哺乳動物に対するホウ酸塩の急性毒性は微弱で、ホウ酸塩は人やペットには安全で、木材劣化生物には厳しい理想的な木材保存剤といえます。

ホウ酸塩を木材保存剤として利用するには、木材にホウ酸塩水溶液を含浸させます。シロアリや食材甲虫がこの木材を摂食すると、細胞中のホウ酸濃度が高まり死ぬことになります。又、食材甲虫がホウ酸塩処理した木材中に産み付けた卵は、孵化率が低下します。腐朽菌が木材に侵入すると、ホウ酸塩は細胞膜を通して拡散し、代謝阻害を引き起こします。

(参考文献:エコ建材ショップ/古民家を守る会 http://kominka.yanoss.jp/eco/

 

最後に

一戸建ての家をこれから建てる人、現在住んでいる人も、家を守り永く住んでいくためにはメンテナンスがとても重要になります。

今回勉強したシロアリ対策のホウ酸は、家にも人にも優しく、木材を劣化させようとする虫たちには厳しい素材であることを理解して頂いたと思いますので、ぜひ実践してみてほしいです。

メンテナンスをご希望の方はこちら

丸晴工務店のリフォームサイトhttps://marusei-r.co.jp

 

大工歴50年を超える大工が刻みます。

まもなく上棟を迎えるH邸の刻み。

清水大工は、市内最高峰の匠の証「かわさきマイスター」の濃沼晴治さん(丸晴工務店会長)の元で働き、

今年で大工歴が56年。

会長とともに半世紀を歩んできました。

丸晴工務店を立ち上げる際の名付け親だそうです。

「昔は丸鋸なんか無くて、今は便利になったよなー。」と清水大工。

刻みの熟練された動きが、作品を作っているかのように迷いがありません。

 

今回作っていたのは、鎌継ぎ。

ある程度丸鋸で削った上で、鑿で彫っていきます。

見えないところと言っても丁寧に刻んでいきます。

それは、いいものを提供する大工のプライドがあるからだと思います。

 

今日も作業場では、上棟に向けての準備、墨付けや刻みが行われています。

刻みを終えた木材が積み上がって行くたびに、上棟の日が近づいてきているように思います。

上棟を心待ちにしているお客様のためにも、

丸晴工務店の大工は日々、木々と向き合い丁寧に刻みを行います。

 

継手のブログはこちら

https://www.marusei-j.co.jp/木造建築における木組みの継手仕口とは何?/

鎌継ぎの動画you tubeはこちら

https://youtu.be/02WY42b5_Y0

第4回多摩川建築塾『山辺 豊彦さんによる構造設計演習』

先日、第4回多摩川建築塾『山辺 豊彦さんによる構造設計演習』が行われました。

今回は、あの有名な山辺先生の構造のお話でした。

山辺先生は、1946年に石川県で生まれ、1969年に法政大学工学部建設工学科を卒業されました。

1978年には、山辺構造設計事務所を設立され、大工たちが用いている継手、仕口、耐力壁、水平構面などの実大住宅の構造実験を行い、実際の設計法に反映して耐震性を評価する研究を続けてきました。

著書「110のキーワードで学ぶ―世界で一番やさしい木構造」や「ヤマベの木構造」など数多くの本を書かれました。

地震力や風圧力などの水平力が建物に作用すると、水平力は床面、屋根面などの水平構面を介して体力壁に伝達されます。建物の耐震性は体力壁で確保することになるため、水平構面は体力壁より先行破壊してはなりません。

そこで、建物の壊れ方について講義を行ってくださいました。

 

その後、それぞれが事前に提出した課題の講評を頂きました。

※前回の、藤井章さんの講評も書かれています。

 

建築基準法の規定で安心するのではなく、こういった勉強会に積極的に参加し、設計士としての知見を増やして、的確な判断をしていくことが、お客様の大事な命を守る住宅を作れるのではないかと思います。

丸晴は、伝統を守りつつ常に新しい知識を身につけていき、社会貢献に繋げていきます。

 

建前や上棟式で祭られる、あの飾りって何だか知っていますか?

先日、中原区で上棟式がありました。

大工さんにとっては少し暑さ厳しい真夏日でしたが、

施主さんにとっては、人生の1ページを飾るにふさわしい晴れやかな日となりました。

棟梁の矢島大工です。

建前は、まず土台、1階床を張り、柱を立てて桁・梁を組み、倒れを見ます(傾きの確認)。

その後は、2階も1階と同じように床を張り、倒れまで確認が終えたら、屋根の形状に合わせて小屋梁の上に小屋束を立てます。その上に母屋、棟木、垂木を載せると小屋組が完成します。その棟木に幣芯を飾ります。

最後は、広小舞を取りつけて野地板を張ります。ここまできて防水紙を貼ったら建前は終了です。

これが幣芯。

幣芯の作り方動画はこちら

https://youtu.be/plC_MXLDbxY

ちなみに、よく「上棟式」や「建前」で検索すると出てくるこの飾り。

なんのためになぜあるのかご存知でしょうか?

現在では、こんなにこじんまりとしていますが、

社寺仏閣や昔のお家では、上棟式の後、棟梁送りと言ってあの大きくて煌びやかな飾りを持ちながら、

親戚など上棟式にお金を出してくれた方々が棟梁を家まで送るという古い習わしがありました。

丸晴工務店 大石神社上棟写真

 

しかし、最近では核家族が増えたりすることにより、土地建物以外のところにあまりお金をかけない風習が広まってきています。ハウスメーカーが建てる建売なども多いため、そもそも上棟式自体が減り色々な習わしを知る人も少なくなってきています。

今回は、現代の上棟式をご紹介しながら、伝統に触れていただけたらと思います。

上棟式については、こちらに詳しく書かれておりますので見てみてください。

上棟式とは何なのか?大工工務店だからこそ知っている知識。

 

種類と由来

神社上棟の煌びやかな飾りは、「幣串」、「扇子車」、「破魔弓」、破魔弓に添えられる「破魔矢」と言います。

上棟式の際に棟木に供えられます。

 

幣串

幣(ぬさ)とも言い、木綿(ゆう)・帛(きぬ)・紙などの紙垂(しで)を挟む木や竹の祭具。これを御幣という。

御幣にとりつける紙垂は白だけでなく五色の紙や、金箔・銀箔が用いられることもあります。

「幣」は麻(麻布)、「帛」は絹(白絹、絹布)を意味し、両者は捧げ物の代表的な事物であることから、本来、「幣帛」で神々への捧げ物の「総称」を意味します

 

 日本人は、古墳時代の頃から、神々に対し、貴重な品々、「幣帛」を捧げてきました。

それらは、稲(米)、酒(みき、酒造技術)、塩、魚などの神饌(みけ)の他、鉄製の武器(刀剣類)や農工具(=製鉄・鍛造技術)・器・玉(=宝飾加工技術)・鏡(=鋳造・研磨技術)・衣類・布類(=養蚕・製糸・織布技術)など、その時代の最先端技術を象徴する物でもありました。また、これらの品々は、神々の霊魂が宿る依り代、神々の象徴でもありました。

その後、奈良時代後半から平安時代前期にかけて、幣帛は特に布類を指すようになります。

捧げ方も多様化し、折り畳んだ布を串(=「幣挿木」(へいはさむき))に挿んで捧げる形式が登場します。この幣挿木が現代の御幣へとつながっていきます。幣挿木が神々への捧げ物だと示すため、捧げ物本体である「幣帛」(=布類)とともに、神聖性を表現する「木の皮の繊維(これを「木綿」という)や麻」を、串に挿んで垂らしたのです。

時代が経つにつれ、「幣帛」に、「布」に代わって「紙」を用いるようにもなります。「紙」もまた、当時の貴重な品でした。この際も「木綿・麻」を垂らしていましたが、その代わりに、細長く折り下げた紙を両側に垂らす形式も見られるようにもなります(13世紀末頃)。これを「紙垂」(しで)と呼びます。

室町時代から江戸時代にかけて、榊(玉串・真榊)の他、神前に御幣を捧げる形が普及・定着化し、中世以降の御幣は、捧げ物本体である「幣紙」と神聖性を示す「紙垂」とそれらを挿む「幣串」から成る構造が、一般的となりました。

 

扇子車

長さ12尺〜15尺の角材に3・5・7本の太い横線を入れ、上部に3面の白扇を車状または1面の円形状の扇子を差し、木綿または麻糸と5色絹を垂らした祭具です。

その棟の上には、女性の七つ道具と呼ばれる(口紅、白粉、櫛、簪、鏡、かつら、こうがい)に飾ってあります。

これは、京都に大報恩寺という1212年建立という京都でも最古のお寺で、千本釈迦像、十大弟子の像などでも有名なお寺におかめ像が祀られているのと関係しています。

貞応二年(1223)、義空上人が大報恩寺の本堂を建立することになり、長井飛騨守高次(ながいひだのかみ たかつぐ)という棟梁が工事を請け負うことになりました。

多くの大工を束ね、大工事は着々と進んでいきましたが、あるとき寄進された大切な四本の柱のうち一本を誤って短く切ってしまいます。代わりの柱を探すも見つからず、このままでは上棟式までに工事を終えることができない、、、。

総責任者として悩み苦しんでいたその高次の危機を救ったのが、彼の妻、「おかめ」でした。おかめは「全ての柱を短く切りそろえ、柱の頂上に枡組(ますぐみ)をつけて補えば」と助言をし、高次は無事に上棟式までに工事を終えることができたのでした。

安貞元年(1227)12月26日、盛大な上棟式が行われますが、そこにはおかめの姿はありませんでした。

当時は、女性が男性に助言するなどあってはならないといわれていた時代。夫の名誉を守るため、おかめは上棟式を前に、自ら命を絶っていたのです。

義空上人はそんなおかめの徳を称え、境内に塚を建てて供養したといわれています。

この言い伝えにより、おかめさんは大工の守り神となったといわれています。

 

大報恩寺は安貞元年(1227)に建立され、本堂は幾多の戦火を免れ、800年近く経った今も当時のまま残る京都市内(京洛)最古の木造建造物として国宝に指定されています。

これらのことから、災難から逃れ長く残る建築を願い、今でも棟上げの時におかめさんの面やおかめさんの「女の七つ道具」を納め、永久に頑丈な建物になりますようにと祈願しているといいます。(参考文献:九州国立博物館)

丸晴工務店 大石神社上棟写真

丸晴工務店 大石神社上棟写真

破魔弓と破魔矢

一般には破魔矢のみがよく流通しているが、正式には、破魔弓で射て初めて邪魔を破り浄化する効力を発揮する。一般人が破魔矢を持つ意味は、破魔弓は神や神主や破邪の能力を有する者が持って方向と力と気を定めて構え、破魔矢の所有者は破りたい魔に対する矢を提示する形で射られる、との仕組から来るとされています。

破魔矢の先が鋭く尖っていないのは、目標とする人や物自体ではなく邪魔が発する邪気・邪意・邪道・邪心等の妖気を破り浄化する用を為せばよいので、鋭利な刃物である必要が無い為です。

陽の矢は未申、陰の矢は丑寅の方角に向けます。

丸晴工務店 大石神社上棟写真

(参考文献:建築知識「和風デザイン図鑑」、ウィキペディア)

 

時代、土地柄、環境により飾りが小さくなったかもしれませんが、大工を守り、永久に頑丈な建物になりますようにと祈願していることに変わりはないと思います。

このように、意味を知りながら建っていくお家、これから建てるお家を見るのは楽しさが倍になっていくのではないかと思います。

ぜひ、性能やデザインだけでなく、伝統などに触れながら自分のお家を建ててみていただければと思います。

 

最後に、

Y様上棟おめでとうございます。

素敵なお家が出来上がるのを楽しみにしています。

 

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