新建ハウジングにて行われた、2年以内に住宅購入をした600人アンケート。
住宅購入時に重要視したポイントは?
1位 地震が来ても倒れない(耐震・制震・免震)
2位 家事がしやすい(動線計画、収納が十分など)
3位 寒くない・暑くない
などなど。という結果でした。
地震が来ても倒れない(耐震・制震・免震)は昨年の3位から1位になったそうです。
余震が続いている今、特に地震が来たときに倒れない、崩れない家を建てたいと思っている方が多くいるのだろうと思います。デザインがどんなに良くても、いざという時に倒れてしまうようでは家の意味が無くなってしまいます。そもそも家は人を守るため(命・生活・暮らし)にあるものだからです。
そこで、今回は家を建てる時に、安心して建てられるように、耐震についてのお話をしようと思います。
建築基準法の改定
昭和23(1948)年に起こった福井地震によって、木造住宅は非常に大きな被害を受けたが、その調査結果で壁の多い住宅は被害が少ないという事実が示された。それにより昭和25(1950)年に建築基準法ができたとき、一般の木造住宅の耐震設計にも耐力壁を前提とした『壁量計算』による耐震設計法が採用された。これにより日本の木造住宅の耐震性が飛躍的に向上した。
その後、昭和48(1978)年に起こった宮城県沖地震により、甚大な被害が発生したことで昭和56(1981)年に大きく耐震基準(新耐震基準)が改正され導入されました。このとき、現行の必要壁量となった。また、平成6(1995)年の阪神・淡路大震災が発生したことで、平成10(1998)年には、建築基準法の仕様規定に二つの大きな改正を行った。
そのうち一つは、耐力壁の配置の規定の具体化。改正前は「(耐力壁)を釣合い良く配置しなければならない」という定性的な規定であったが、改正後、「四分割法」を行うことが義務付けられた。
もう一つは、接合部の規定の具体化。改正前は「構造体力上主要な部分である継手又は仕口は、ボルトを締め、かすがい打ち、込み栓その他によりその部分の存在応力を伝えるように緊結しなければならない」という、これも定性的な規定であったが、改正後は、どのような接合部にはどのような接合具で緊結しなければならないかを詳細に規定した。
金物どころか釘1本使わないことを美学としてきた日本の伝統的な木造建築からは離れることになったが、命を守るため、地震に抵抗する住宅が具体的に建築できるよう、建築基準法は改定し続けてきた。
参考資料:株式会社エクスナレッジ 「地震に強い【木造住宅】パーフェクトマニュアル」
木造の構成要素
在来軸組構法の建物は、5つの要素で構成されています。
①軸組
鉛直荷重を支える役割。水平力への抵抗力はほとんどない。
②耐力壁
主に水平力に抵抗する役割。上記図のように、水平力Aに対する抵抗力は大きいが、水平力Bに対しては倒れやすいので『長さ』で抵抗する。
③床組・小屋組
鉛直荷重を支えるほか、水平力を耐力壁に伝達する役割も担う。
④接合部
ピン接合だと回転が生じやすいため、軸組のみでは倒れやすい。図のように方杖や火打などを併用すると接合部の回転が拘束されて、軸組のみのときよりも変形が小さくなる。
⑤地盤・基礎
基礎は地盤との釣り合いをとる役割があるため、地盤に応じて形状を決める。
基礎は水平力にも抵抗するので、平面的に閉じた形にする。
柱の役割
①建物の重力によってかかる荷重を支える。
②太い柱の場合、水平方向に抵抗する。
③水平力による耐力壁の端部に生じる縮む力や引っ張る力に抵抗する。
④外周部(外柱)は風の圧力に抵抗する。
1、2と家の構造や家にかかる力について話して参りましたが、耐力壁は、地震力や風圧力などの水平力に対して、建物が倒壊しないように抵抗する最も重要な構造要素であることがわかります。
そのため、耐力壁の向きや施工方、材料の選別が重要になります。
次に、耐力壁についてお話しします。
耐力壁について
小規模住宅では、壁量計算で耐震性を確保するが、その際、水平力の加力方向に抵抗する耐力壁の向きに注意する必要がある。下記図のように、壁には加える力によって倒れにくい方向、倒れやすい方向がある。
耐力壁は抵抗形式別に、以下の3つに大別できる。
①せん断系:面材・塗り壁
面材(構造用合板や石膏ボード)を横架材や柱に釘留めしたものは、釘の太さ・長さと間隔が耐力に影響する。また、土壁やモルタル塗りなどの湿式壁は、土やセメントの強度と塗厚が耐力を左右する。
②軸力系:筋交い
圧縮力に対しては筋交いの厚みと座屈の長さ(間柱間隔)が、引張力に対しては端部の接合が耐力に影響する。
③曲げ系:貫・面格子など
部材どうしをかみ合わせるもので、抵抗力はめり込み面積に比例する。強度は低めだが、非常にねばりがある。部材を乾燥させ、各接点に隙間を生じさせないようにしたい。
参考資料:株式会社エクスナレッジ 「ヤマベの耐震改修」
耐震性維持に必要な耐久設計
木造住宅における劣化現象には、風化、摩耗、腐朽、虫害などがあります。
木質部材への腐朽、蟻害の発生にともなって、建物には各種の性能低下が生じることになりますが、そのうち最も深刻な問題は構造安全性の低下です。すなわち、耐震性を最大限に生かすためには、建物の骨組みである土台、柱、梁、筋交い、などを劣化させないことが重要となります。そのためには、壁の内側が通気の良い状態でなくてはならないため、使用する面材の透湿性なども確認する必要があります。
面材の種類と特徴
現在では、耐力面と断熱の関係で面材を使用しているところが多く、その種類や特徴がそれぞれ違います。
ここでは、一般的に主な耐力面材について簡単にご紹介したいと思います。
一般的な耐力面材。木質性のため粘りが強いが、透湿性が少し劣る
不燃耐力面材。天然素材の鉱物「バーミキュライト」を主成分とし、土に還すことができる素材です。
木質性で透湿性の高い耐力面材。
不燃耐力面材。透湿性の高い体力面材。
これらの素材には壁倍率がありまして、カタログに記載されている数字をそのまま参考にし、構造計算をかけます。
しかし、その数字がもしその強度がでなかったらどのような状態になるでしょうか?
計算をして、耐震等級3といっても意味が無いです。
日本の大学で、これらの面材を実際に破壊できるところが数件ありまして、実際にその数字が出るのか実験をおこなって
確認作業をしております。
耐力面材の破壊実験(弊社も参加している大工工務店の会主催)
そうすると、カタログ値をそのまま利用してはいけないメーカーが出てくるのです。
山辺先生は、実際に面材を壊して壊れ方を大工にも確認させ、施工する上でどの部分に気をつけなければならないか
目で確認する大事さをおっしゃられます。とても大切な事だと思います。
また、実験を通してこのメーカーの面材を使用しようと確実な回答ができます。
木造住宅構造設計で有名な山辺先生による、建物の壊れ方や構造の耐久測定など参加して、日々人を守るための家づくりを研究し、それを生かした建築をしています。