みなさん、こんにちは。神奈川県川崎市多摩区を拠点に木の家づくりを手がける丸晴工務店です。
床に無垢の板を使った場合、その上に塗料を使うことがあります。今回は、塗料の目的と、丸晴で使っているオリジナル塗料についてお話ししたいと思います。
なぜ、塗料が必要なのか
床に限らず、壁や天井、家具や建具などに木を使う場合、紫外線や摩耗に対する保護や防汚、艶を出すことを目的に塗料を使います。
住まいのなかで、まず塗料で保護をしておきたいのは、床や家具。床は椅子などの家具を動かすことで、日常的に磨耗したり汚れやすいからです。壁も、意外と手で触れることの多い場所で、手垢や脂分などで汚れてきてしまいます。丸晴工務店では、床や家具だけでなく、壁にも塗料を施すことをおすすめしています。
日本の家づくりにおいては、昔から身近にある素材を塗料に利用してきました。
米ぬかに含まれる米油やエゴマなどの植物から採れる植物油。
未熟の渋柿を圧搾して得られる果汁を発酵・熟成させた柿渋。柿タンニンを含み防虫・防腐効果があります。防水効果にもすぐれ、かつては番傘にも塗られていました。
また、鉄鉱石を原料とする赤いベンガラや、松を不完全燃焼した真っ黒な松煙。
漆も、耐水性のある樹液だけでなく、果肉や種子に含まれる脂肪分を木蝋として、家具や建築の木部の保護に使ってきました。
変わり種では、イボタ蝋。イボタという木につくイボタイガラムシが分泌する蝋を精製したものです。
塗料の種類とその機能
このように塗料にはさまざまな種類がありますが、膨大な数の製品のなか、どのような選び方をすればよいのでしょう。
まず一つの考え方として、無色か、色をつけるかということがあります。
そして二つ目は、塗料が固まってつくられる膜=塗膜の有無や程度による分類です。
一般的に液状の塗料は、木部に含浸して木の調湿機能を妨げずに、磨耗や汚れから保護してくれます。
これに対してワックスは、木の表面にとどまって保護をします(ただ最近は、液状でありながらワックスのような性質をもつもの、ワックスのように見えて調湿機能を妨げないよう含浸するものなど、さまざまな製品が登場しています)。
そしてウレタン系樹脂を主成分とするウレタン塗料。これは乾くと強い塗膜を形成します。
ところで、丸晴工務店はどんな塗料製品を使っているかご存知ですか?
じつは私たち、市販の塗料は使わずに、自分たちのキッチンで手作りしているのです。
自然の恵みを住まいに生かし、体にやさしい家づくりを徹底
材料は、エゴマ油とミツロウのみ。
ミツロウはミツバチの巣を構成する蝋を精製したもので、リップクリームなどの化粧品にもよく使われる素材です。
市販の塗料の多くには、防腐剤や早く乾かすための乾燥促進剤など、化学物質が含まれています。
乾燥が早いなどのメリットはありますが、塗料に含まれる化学物質(ホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性有機化合物=VOC)が、室内空気を汚染し、シックハウス症候群の原因とも指摘されています。
ですので私たちは体にやさしい家づくりを徹底するために、天然由来の素材を自分たちの手で調合しているのです。
木の種類によっては、食用のクルミ油を使うことも。木目をより美しく引き立たせます。
難を言えば、オイルだけですと少々乾きが遅いことでしょうか。
ナラなどの広葉樹は木目を引き立たせたいのでクルミ油がおすすめです。
写真の左側がクルミ油を塗った方で右側が無塗装です。
杉や檜などの針葉樹は、塗料を施しても木目の美しさにさほど影響は与えないので、蜜蝋ワックスを塗ります。
季節にもよりますが塗布したのちに拭き取ってから、乾燥には数日を要します。入居まで時間がないというお客さまには、コスト的には高くなりますが、ミツロウをおすすめしています。
いずれも自然由来の体にやさしい材料で、床に触れることの多い小さなお子さんにとっても安全です(ただどんな天然素材でも、体質によってはアレルギーを起こすこともありますので、アレルギーでお悩みの方は事前にご相談ください)。
塗料はどんな製品や素材を使おうと、経年により必ず塗り替えが必要になります。
リフォームを木に塗装をやり直したいという方や、塗り替えで迷っている方は、お気軽にご相談ください。