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木造建築における木組みの継手仕口とは何?

2021年4月22日

木造建築には、軸組工法や2×4(ツーバイフォー)と呼ばれる工法があります。

その軸組工法には、木と木を組み、建物の強度を増す、または、古いものを再利用するための継手など、たくさんの技法があります。

ここでは、基本的な継手・仕口・組手についてお話したいと思います。

 

はじめに

木造建築の部材の接合を言い表す用語として、継手(つぎて)、仕口(しくち)、組手(くみて)、差口(さしぐち)、矧ぎ(はぎ)などがあります。いずれも近世の大工書に表れる用語です。

明治39年に刊行され、戦後にまで版を重ねた建築辞書『日本建築辞彙(にほんけんちくじい)』によれば、継手は材を継ぎ足す接合を、組手は桁(けた)や合掌梁(がっしょうばり)など部材が交叉する箇所での接合を、差口は一方の材側面に他材を取り付ける接合を言います。

さらに仕口は、上記の組手や差口をいうとあるので、仕口は角度をもって材を組み合わせる接合の総称と言えます。

また、同辞書に矧ぎの見出しはないですが、実矧、胴付矧などの項目から、矧ぎは板材の長手側面の接合を言うことがわかります。

このような仕口に決定的な変化をもたらしたのが十二世紀末に導入された、柱を貫き通し、柱相互を繋ぐ貫の技術です。当然そこには、柱と柱の内部で交叉する貫材という直交三軸を形作る部材を組むための、それまでになかった仕口や継手の技術が新たにもたらされました。

こうした様々な要因がからんで多様な継手仕口が歴史的につくられてきました。接合部によっては複合的な要因が働き、それに対応するために複雑な形の継手仕口が考案され、その結果、それらは優れた手業を表すものとして、見る人の興味を惹きつけるのです。

 

木造建築で主に使われている仕口

●枘(ほぞ)●

在来軸組工法では必要不可欠な仕口です。

弊社では手刻みで行いますが、ほとんどがプレカット工法と言って、工場で量産されていることが多いです。

仕口をつくる二材の寸法が近い場合に、引張り以外のずれに抵抗する基本形であり、材軸方向に指し込んで接ぐもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

手刻みほぞhttps://www.marusei-j.co.jp/手刻み/

 

 まずは、墨付け通りに丸鋸で裁断していきます。

 

 

 

次に、鑿(のみ)を使って丁寧にほぞの加工をしていきます。

 

 

●鎌(かま)●

こちらも基本的な継ぎ方の一つです。

滑り勾配を付け、ほぞだけで力を受けるのではなく、面で受ける工夫が施してあります。

 

よりよい木組みとは

よい木組とはどんなものでしょうか

まず、地震などの外力などに対しても安全なこと。安全であるということは、単に強さだけを求めることではないのです。もちろん、壊れない丈夫さも必要ではありますが、万が一の場合にも瞬時につぶされてしまうことがなく、たとえ大きく傾いても、住み手が避難できる空間を保持することも大切な機能であるといえます。

また、よい木組は、継手や仕口などの仕様を決定するだけでは十分とはいえません。注意深く定められた仕様によった木組の性能を生かすには、間取りの計画と同時に、力の流れが素直で無理のない架構を計画する必要があります。さらに、木組を生かしながら快適で丈夫な住空間を実現させる仕上げなど、家全体のつくり方とも深く関連してきます。

そのため、建物の強さを測る実験だけでなく、建物の壊れ方の実験などに参加していくことで、柔軟で強い家づくりができます。

 

おまけ

継手や仕口は、本当にたくさんの種類があり、全てをご紹介することができませんが、ちょっと面白い継手をご紹介します。

真っ直ぐにも直角にも接げる不思議な継手

『河合継手』

矩手(かねて)にも組め、長手(ながて)にも継げる不思議な継手です。

墨付けは至って簡単ですが、隙間無く組み合わせるとなるとなかなか難しい継手。

この継手は、工学院大学建築学部建築学科教授の河合直人氏が東大在学中に考えたもので、

考案者の名前から『河合継手』と呼ばれています。

 

実用よりパズル感覚で組み合わせを楽しめます。

腕試しに作ってみてはいかがでしょうか?

 

参考資料:誠文堂『木組み・継手と組手の技法』

 

組手を多用する『数寄屋門作り』

https://youtu.be/8ur1i06B8dU

 

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